近鉄日本橋駅または堺筋線の長堀橋駅から徒歩10分
外国人観光客があふれる商店街を通り抜けた、飲食店街ど真ん中のビル1階
外観は一見してフィリピン料理とわかる飾りつけ。
中に入り、テーブル席に通された。内装はトロピカル風。
ここ最近訪問したフィリピンレストランでは珍しく、メニューの料理名がカタカナ表記であったり日本語の注釈がついており、日本人のお客さんを意識しているのだろう。
フィリピンの国民的スープ、シニガンスープには『タマリンドの酸っぱいスープ』と説明あり。
なるほど、あの強烈な酸味はお酢じゃないんだ。。。
フィリピン式のもつ煮込みや、豚バラ肉のカリカリ揚げレチョン・カワーリなど迷うところだが、冒険をせずに(?)フィリピン式ビーフシチュー、カルデレータを注文。
一口大の牛肉、ジャガイモ、ピーマン、ピーマンがごろりと入っている。生のレタスが添えられた上品なアレンジ。
スープはほとんどなく、おしゃれな肉じゃがといった方がしっくりくる。言われなければフィリピン料理とはきづかないだろう。
確か、肉じゃがの起源は、イギリス留学から帰国した明治海軍の英雄・東郷平八郎がビーフシチューを作らせようとしたら、赤ワインやバターが手に入らず、醤油と砂糖で代用したら肉じゃがができたとの説もある。
そうであれば、フィリピンのビーフシチュー、カルデレータが日本で肉じゃがに進化したとしても不思議ではない、、、か?(結局、肉じゃがに収束するのか??)
食べきれないことを懸念して注文しなかったが、この量であれば、シニガンスープがあってもよかったかもしれない。
白い大きなお皿に十分な余白をとった盛り付け出てきた。見た目にも美しく好印象。
よく見ると、ライスはこんもり盛られているが、それはよしとしよう。
マスターは来日14年で、レストラン以外に業歴7年のパブも経営しているが、ほかのパブのオーナーは、みんな日本人という。
最初のパブを立ち上げたときは所持金が3,000円しかなく、そこから店舗を拡張し、ついに当レストランも立ち上げたというやり手。
いまは一時的にパブをお休みして、こちらのレストランの営業に集中している。
お店の電話番号を書いた紙を貼った編み笠をかぶり、お客さんに話しかけ、精力的に営業中。
お話では彼は子宝に恵まれて、生後3か月から10代前半までのお子さんを日本で育てていらっしゃる。
おりしも世の中は連休中で、小学生の息子さんが店内歩き回っているのがかわいい。
マスターと一緒に店を切り盛りするのは来日20年のシェフ、調理経験が10年以上ないと取れないというシェフのビザをお持ち。九州各地から名古屋まで各地のレストランで腕を振るいながら母国の娘さんを大学まで進学させて、ほっとしているとのこと。
さすがに美味しい。
マスター曰く、パブとは違い、当店では日本人のお客さんにフィリピン料理の味と会話を楽しんでほしいとの思いから、当初設置したカラオケ装置を外し、BGMも変えたとのこと。
そのおかげで、お客さんは日本人と近隣のパブのフィリピン人女性が半々。
確かに自分も、エスニック好き、または冒険好きでなくとも雰囲気と料理を楽しめるお店という印象をもった。
売り上げはレストランと出前の二本柱であるが、お店の敷地が小さく収容人数に限界があるので、中期的には出前を増やしたいとのお考え。
なお、個人的に注目しているフィリピン産ラム酒のドンパパについてはマスターもご存じなく、もう一つのラム酒のブランド、タンドゥアイについてはご存知。ただし品質は考えものとのこと。
帰り道に子供用の自転車に乗ったマスターに追い抜かされた。
息子さんが何度か談笑中のマスターのところにきて『自転車を返してほしい』とお願いしていたのは、このことか。
さらに駅に向って歩いていく途中、またマスターに追いついた。
『自動車の通行の邪魔になるから』と言ってお店の前でもないところで、路上駐輪している自転車を並べなおしている。
こういう人柄が愛されて、商売が繁盛するのだろう。
子供たちのため、体を張って本気で頑張るマスターがかっこいいお店。
メニュー例:
カルデレータ 1,000円
ライス 300円
お茶 300円
サンミゲル 800円
住所:大阪府大阪市中央区東心斎橋2-3-11 三ツ寺ギャラクシービル7号館 1F
電話:06-6211-0272
ご参考: