京浜急行電鉄の横須賀中央駅から徒歩5分
土曜日の晴れた昼下がり。
防衛大学校の白い制服と帽子が凛々しい若者たちが通りを歩き回る。米軍横須賀基地があるためだろうか外国人も多い。
駅前に広がる商店街の路地に入ると大きな字でお店の名前を冠した緑色のひさしがせり出している。
店名の左に控えめに書かれたフィリピンの国旗がなければ何のお店か知ることは難しい。
2階に続く薄暗い階段を登り、OPENのかけ札を頼りにドアを開ければ、そこは完全に外国(フィリピン)。
40平米ぐらいの正方形の敷地内には4人がけのテーブル席が5-6組あり、ママさんと食事をほぼ終えた様子のご友人数人がおしゃべりに花を咲かせている。そののんびりした食堂側とは対照的にカウンターの中では、若手の従業員がキビキビ働いている。
到着は3時頃だったが、店内に窓からの陽射しがなく、時間の感覚が曖昧になる。
まずは奥のテーブル席に荷物を置き、ビュッフェ台の料理をチェック。
料理はスープを含めて6種類。
- パンシット・ビーフン(フィリピン風焼ビーフン)
- シニガン(豚肉の酸っぱいスープ)
- カルデレータ(フィリピン風ビーフシチュー)
- チキン・アドボ(鶏肉の醤油と酢の煮込み)
- ギナターン・トゥリンガン(マグロのココナッツミルク煮込み)
- ギニサン・モンゴ(モンゴ豆の煮込み)
加えてスイーツも用意してある。
これだけあって1,000円で食べ放題は確かにお得。
ママさんのおすすめは鶏肉のアドボ。
通常の醤油とお酢で煮込む味に加えて、ココナッツミルクを使っているのが当店独自のレシピ。確かに塩味、酸味がココナッツミルクとまざり程よくクリーミーな味わい。
マグロのココナッツミルク煮込みもイケる。ぎゅっと身が締まったマグロの切り身に、ココナッツミルクの、濃厚な甘さがしみ込み、身と味を柔らかくほぐしている。
日本料理にはない味付けなので形容し難いが、クリームシチューの具が肉でなくマグロであると想像してほしい。そのホワイトクリームにココナッツミルクを混ぜている、そんなイメージ、だろう。
個人的にはギニサンモンゴなるレンズ豆の煮込みが(大)好き。豆からにじむ優しい味と塩味そして豚バラ肉の旨味。これはただ、ただ好きなので評価から外す。
しかし、この日はパンシット(焼きビーフン)が一番印象深かった。
とくに具材のふっくら柔らかく煮込まれたレバー。臭みがなくコクはある、なかなかのもの。
ただの焼きビーフンと思って食べていたら、その味のイメージに横入りするように旨味が突然現れ舌と脳を驚かせた。食べていてうれしくなった。
入店客は絶えず続き、滞在中に空になったビュッフェのケースに継ぎ足しもあったほどのご繁盛。
スイーツを買いに立ち寄るお客さんも一人、二人ではなかったので、こちらも美味しいのだろう。自分にデザートの習慣がないので食べていないが挑戦していきたい。
この7月に開店8年を迎える当店。
お店のお客さんは、横須賀基地勤務のアメリカ人やフィリピン人、ほかに某財閥系商社ご勤務のフィリピン人もこちらのお客さんにいらっしゃるとか。
ところが、やはり立地的にもお客さんは外国人中心だろうなぁ、と思っていたところに70歳台の日本人の老紳士がご来店。
横須賀基地のスカジャンを着ている。
食事する風ではなく、一杯召し上がりカラオケの予約端末を操作し始めた。
そして昭和のスナックの歌謡曲を歌い出す。
まずは『居酒屋』。御大の歌唱では大胆に音程がアレンジされているものの、サビを聴けば「あぁ昔芸能人カラオケ大会みたいな番組で誰かが歌っていたなぁ」となる曲。
調子が出てきたのか次の曲も予約。
『新宿育ち』・・・?
サビを聞けばわかr・・・分からない。。。
全く初めて聴くが、パブかキャバレーでの男女の出会いをしっとり歌い上げる大人の歌謡曲。
その次の曲は・・・タガログ語!いったい『フィリピン歴』何年の強者か。
そこにママさんのお友達もデュエットで加わる。
フィリピンパブ全盛期はかくなりけりか。
それにしてもフィリピンレストランに、窓が覆われたお店が多いのはカラオケの音漏れ対策か、商品陳列が目的か、もともとそういうビルなのか。もうどうでもいいか。
お得感:★★★★ (★5つが最高)
昭和キャバレー感:★★★★★ (日によりけり)
メニュー例:
土曜日のみ、食べ放題1,000円
営業:
土曜日 12:00-05:00
日曜日〜金曜日 17:00-05:00
住所:神奈川県横須賀市若松町1‐12‐4
電話:046 876 7882
ご参考: