今回訪れたフィリピン料理店は、JR大森駅の東口から出てほどないところにある居酒屋。
少し昔に建てられた高層マンション(あるいはコンドミニアム)のロビーには飲食店街が並び、その通路の一番奥に、『食べ放題』との案内と一緒に、ひらがな表記のお店の看板を発見。
入店は21時ごろ。先に入っていたお客さんは、フィリピン人女性3人組と日本人男性二人組。
お店を切り盛りしているのは20代後半のコロッとした女性とお婆さんのフィリピン人二人組。二人ともオレンジ色のTシャツとお店の名前入りのエプロンをしている。
暖色のライトで照らされる店内は、狭くはないが、鉛筆の先の形のような三角形をしている。
ほかのフィリピン料理店でも同じように、天井と壁にはクリスマス仕様の飾りつけと、テレビが部屋の端2か所についている。
肝心の料理は三角形の部屋の一番短い一辺に、ビュッフェ式に料理がズラッと並ぶ。
サラダ、豚肉の煮込み、かぼちゃの煮込み、秋刀魚の唐揚げ、ローストチキン、大根とブロッコリーのクリーム煮、ご飯、スープ、そしてデザートのチーズケーキまで。
アルミ鍋の下にはガスコンロがあり、温めなおすのも簡単だろう。
ずらりと並ぶ料理から、少しずつ取り、食べてみる。と、同じフィリピン料理でも味が他店のものと違う。優く食べやすい。日本人向けにしたのだろうか。
酸味の効いたスープは、骨までやわらかく煮込んだ骨付き豚肉入り。お肉トロトロで、地味に美味しい。
食事を始めて一息ついて、改めて店内を見渡すと3つ、4つ並ぶオレンジ色のソファが映える。オレンジがお店のイメージカラーなのか。
そのうち、ちょっとイカツイ日本人男性客が入ってきた、と思ったら、こちらもオレンジのTシャツに着替えたのを見て当店のオーナーらしいと理解した。
ふと食べ放題の料金を確認していなかったこと思い出すが、ひとまずチーズケーキまで全部食べて、それから食べてから考えることに。
で、恐る恐るレジで支払いをすると、350円のマンゴージュースと合わせて1,550円!
食べ放題だけなら1,200円、安い!
見た目はイカツイオーナーも、自分がフィリピン絡めたビジネスをしたいことを話すととても親切にご自身の事業や、フィリピンビジネス全般についても教えて下さった。
お店の開業は7年半前、もともとは別のところ(蒲田?)でフィリピン料理店を営んでいらしたそう。ところが大森に場所を移して改めて店を開いたところ、売り上げが下がってしまったそうな。
そこでオーナーは『大森では蒲田に比べてフィリピン人、日本人ともお客さんの年齢層が高く、日本滞在歴も長いため、フィリピン現地の味がそれほど求められていない』と判断しメニューに和食を取り入れるなど工夫したそうだ。
確かに、大根食べたときの安心感は半端ない。どうりで店内に日本人のお客さんの割合が高いわけだ。
オーナーが指さす先には、他店と違い、壁に日本の居酒屋メニューがかかれた短冊がびっしり並ぶ。平日には刺身も提供し、見事にフィリピン料理と日本料理が両立している。
こうした企画が奏功し、今は安定して売り上げを立てているとのこと。
日本人オーナーでこうしてフィリピンビジネスを立ち上げ、切り盛りされている方にお会いすると勇気づけられる。