連日の錦糸町詣でとなっている。
中の様子が分からないドアを、正面に掛った『OPEN』の札を100%信じて開く。
そこには黒で揃った壁と床とソファがシックな室内。白いテーブルと赤い線をひく電飾がよく映え、清潔感もある。照明が明るいスナックかクラブの雰囲気(だと思う)。
まだ日本語もたどたどしい若い女性スタッフが、英語しか表記がないメニュー表を指して注文を促してくれる。知らない料理名の内容を聞くと、いちいち奥の先輩スタッフに小走りで確認しにいくところが初々しい。
でも注文するのは定番のセットメニュー。
トシログ(Tosilog、甘く煮込んだ豚肉、目玉焼き、ガーリックライス) 1,000円
ブコ(Buko、ココナツ)ジュース1缶 500円
やはりご飯は欠かせない。
料理が出るまでの時間、ぼんやり店内を見渡す。
新米スタッフが、手持ち無沙汰な私に気を利かせてカラオケのマイクと予約端末を渡してくれたので、値段を聞くと『無料』に先輩に確認してくれた。
店内から外が見える窓はない。レストランという雰囲気ではない。
そもそも食事を目当てに来る客を営業対象としていない業態だろう。
誰もお客さんがいない店内にはファンクなダンスミュージックがビートを刻む。カラオケで歌う気はサラサラないが、足は自然とリズムをとっている。
壁には緑色のJinro(ジンロ)のボトルが上から下まで並ぶ棚。
お店がはねたパブのお姉さんがお客さんと飲みに来るのだろう。
こうした業態を『レストバー』と呼ぶらしい。レストランとバーを合成したフィリピンの造語と思うが、よく言ったものだ。
そして、ついに注文のトシログが登場!
まずは肉。フォークがふっくらした肉の弾力を押し返し、スッと刺さる。噛めば口の中に甘さがふわっと広がる。やわらかく甘く煮込んだ豚肉
一緒に提供されたお酢をかけ、こってりとさっぱりを組み合わせて、味の変化を楽しむ。
その次に目玉焼きを割って黄身を絡めてコクを増すも、またよし(๑•̀ㅂ•́)و✧
おかずに比べてご飯のガーリックライスの量が多いのは、フィリピンの方は日本人以上にご飯好きということを物語る。おかげでおなかも満足。
食後にオーナーの女性にお話を伺った。
彼女は日本には18年前に来日し、2年半前から自分でこちらのお店を始めたそうだ。
そして入居していたビルの再開発のために、半年前に現在のビルに移ってきたと。
ずいぶん前から日本にいることに驚くと、近隣にはもっと『古いひともたくさんいるヨ』とのこと。
お客さんの層は、ほぼフィリピン人。パブのお姉さんが仕事後に飲んで、歌って楽しむそうだ。(やはりそうか。)
なお、参考までに、日本にいるフィリピン人が、困っていることがあるか聞いたところ、錦糸町のフィリピンパブのお客さんが減っており、困っているひと(お店)が多いとか。
…これは力になれる自信がない。
帰宅後、料理が美味しかった旨の感想を、しっかりオーナーに伝えなかったことを後悔しつつ、フェイスブックページにて、当店の料理と内装の写真をアップしてお店紹介。
するとアップした記事にオーナーから早速コメントがついたので、すかさずその場で美味しかったことを伝えてほっとする。